映画「こっぱみじん」 映画「こっぱみじん」

こっぱみじん 予告編


予告編音楽担当:SoRA オフィシャルサイト

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「好きになった人が、好きになってくれて、
 一生一緒にいたいって思えるなんて…奇跡だよ」

桐生川の流れる街を舞台に、何をするにも中途半端だった平凡な女の子が、憧れの男性がゲイであることを知り、初めて自分と向き合っていく。彼女を中心にした、それぞれの報われない恋の行方と旅立ちの物語。音楽や効果音を排し、ドキュメンタリータッチで切り取られた映像は、俳優たちの自由な演技に圧倒的なリアリティを与えている。

ヒロインの楓には『恋に至る病』の我妻三輪子。今年、公開作の続く彼女にとって、本作は大きなステップとなる一作である。拓也に『見えないほどの遠くの空を』の中村無何有、隆太に『恋の罪』で鮮烈デビューした小林竜樹、有希に『ヒミズ』以降、園子温組に欠かせない今村美乃と、若き実力派俳優たちの共演も見逃せない。

監督は『OLの愛汁 ラブジュース』が国内外で高い評価を受けた田尻裕司、脚本はコンビの西田直子。いまおかしんじ、田尻裕司、榎本敏郎、坂本礼の四人の監督による映像制作会社「冒険王」の記念すべき第一回製作作品。

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一途な「好き」がストレートにぶつかり合う、全員片思いの物語

20歳の美容師・楓(我妻三輪子)は目標もなく、彼氏とも惰性で付き合っている。ある日、初恋の相手である幼なじみの拓也(中村無何有)が6年ぶりに街に帰ってきた。あたたかく励ましてくれる拓也に、楓は惹かれていく。楓の兄・隆太(小林竜樹)とその婚約者・有希(今村美乃)と、四人で楽しい日々が続いた。しかし有希の妊娠が別の男性の子供だとわかり、我を忘れて怒る拓也。楓は拓也の兄への思いを知って―。

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Cast&Staff

我妻三輪子…瀬戸楓役

我妻三輪子MIWAKO WAGATSUMA

1991年2月11日、東京都生まれ。
2002年に女子小中学生向けファッション雑誌「nicola」の読者モデルオーディションでグランプリを獲得し、同誌の専属モデルとして活動。映画・テレビドラマ・舞台・PV・CMなど幅広く活躍している。

主な出演作:映画『俺たちに明日はないっス』(2008/タナダユキ監督)『闘茶 Tea Fight』(2008/王也民監督)『センチメンタルヤスコ』(2012/堀江慶監督)『恋に至る病』(2012/木村承子監督)『しんしんしん』(2013/眞田康平監督)『ダンスナンバー 時をかける少女』(2013/三浦直之監督)『はなればなれに』(2014/下手大輔監督)『さまよう小指』(2014/竹葉リサ監督)

中村無何有…小田拓也役

中村無何有MUKAU NAKAMURA

1984年11月24日、新潟県生まれ。
大阪芸術大学の先輩である石井裕也監督の作品に俳優・スタッフとして数多く参加、森岡龍監督『ニュータウンの青春』(2012)ではプロデューサーも務める。映画、テレビドラマ、CMなど映像を中心に活動中。

主な出演作:映画『剥き出しにっぽん』(2005/石井裕也監督)『君と歩こう』(2009/石井裕也監督/共同プロデューサーも)『東京島』(2010/篠崎誠監督)『見えないほどの遠くの空を』(2011/榎本憲男監督)『踊ってみせろ』主演・PFFアワード2013入選作品(2013/伊藤裕満監督)『MONSTERZ』(2014/中田秀夫監督)『MIRACLE デビクロくんの恋と魔法』(2014/犬童一心監督)

小林竜樹…瀬戸隆太役

小林竜樹RYUJU KOBAYASHI

1989年5月30日、神奈川県生まれ。
祖父は時事諷刺の「ヒトクチ漫画」で知られる漫画家の小林治雄。高校生のときに3年間オーストラリアに留学。CMやPVへの出演を経て、2011年に『恋の罪』で渋谷に棲息する謎の男・カオルを演じて俳優デビュー。テレビドラマ、舞台でも活躍中。

主な出演作:映画『恋の罪』(2011/園子温監督)テレビドラマ「クローバー」(2012/テレビ東京)WEBドラマ「タブー 秘密の恋」(2013/BeeTV)舞台「岩松了プロデュースVol.2 宅悦とお岩~四谷怪談のそのシーンのために~」(2014/作・演出:岩松了)

今村美乃…野原有希役

今村美乃YOSHINO IMAMURA

1987年4月6日、熊本県生まれ。
新宿梁山泊をはじめさまざまな舞台で活躍するかたわら、映画・テレビドラマ・PV・CMなどに出演。『ヒミズ』の下着姿でゴミを捨てる女などハードな役を演じる一方、入浴剤「ウルモア」やLAWSONのCMでは等身大の女性をナチュラルに表現するなど、多方面で活動中。

主な出演作:映画『半次郎』(2010/五十嵐匠監督)『ヒミズ』(2012、園子温監督)『ユダ』(2013/大富いずみ監督)『地獄でなぜ悪い』(2013/園子温監督)テレビドラマ「神様の女房」(2011/NHK)「みんな!エスパーだよ!」(2013/テレビ東京)「八重の桜」(2013/NHK)

監督 田尻裕司YUJI TAJIRI

1968年、北海道生まれ。
獅子プロダクションで佐藤寿保、瀬々敬久らの助監督を務めたのち、1997年に監督デビュー。代表作『OLの愛汁 ラブジュース』は日本映画プロフェッショナル大賞と「映画芸術」の年間ベストテンに選ばれ、イタリアのペサロ映画祭や湯布院映画祭など、国内外の映画祭で上映された。以後、ホラー映画や「艶恋師」シリーズ、「特命女子アナ」シリーズなど多彩なジャンルの作品を監督。2009年に制作会社「冒険王」を設立、『こっぱみじん』が第一回製作作品となる。

主な作品:『OLの愛汁 ラブジュース』(1999)『孕み‐HARAMI- 白い恐怖』(2005)『艶恋師 北海道放浪編』(2008)『特命女子アナ 並野容子』(2009)

脚本 西田直子NAOKO NISHIDA

荒井晴彦氏に師事。1997年、『Bitter Sweet』で新人シナリオコンクール佳作受賞。

主な作品:『姉妹OL 抱きしめたい』(2001/田尻裕司監督)『ビタースイート Bitter Sweet』(2004/女池充監督)『名前のない女たち』(2010/佐藤寿保監督)『たぶらかし 代行女優業・マキ』(2012/よみうりテレビ)『レディレディ トイレで泣いたこと、ありますか?』(2013/中京テレビ)

Production Note

役者たちが自由に芝居している   田尻裕司監督インタビュー

――この映画の企画の成り立ちは。

2010年の12月に、脚本家の西田直子さんに「こっぱみじん」というタイトルで、無償の愛を通して成長していく女の子の話を書いてほしいと依頼しました。幼なじみの男に何度もフラれている女の子が、男が彼女の兄をずっと好きだったと知ってショックを受け悩みながらも、応援していくという話です。
西田さんは、このストーリーだと、なぜ応援するようになるのか?がずっと引っ掛かっていて。何稿か重ねたんですが。2013年になって、最初から好きなんじゃなく、憧れの彼が兄を好きだと知り、友情から応援するが、最後に“あ、これって愛なんじゃないか”と気づくという物語はどうかと提案があり、これなら映画として成立すると思い決定稿を書いてもらいました。

――こっぱみじんというタイトルをつけた理由は。

南Q太の「こっぱみじん」というタイトルの短編漫画があって。セックスフレンドの男が、SEXが終わると彼女の元に戻ってしまい“こっぱみじん”になる女の子を描いた話です。木っ端微塵という言葉のインパクトと、逆に平仮名で読んだ時のかわいらしさに惹かれて、前から映画のタイトルとして使いたいと思ってました。 “こっぱみじん”になっても終わりじゃない、その先を描きたくて、このタイトルをつけました。

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――主役の我妻三輪子さんはどのように決められたのですか。

オーディションで決めたのですが、彼女だけ強く印象に残ったんです。日本人的な心だけ動いて外見はあまり変わらないという芝居じゃなく、外国人みたいに顔の表情がくるくる変わり、手足もよく動く。とても新鮮でした。ただ撮影に入ってから、生き生きとしているのは分かるんですが、いいのかどうか自信はありませんでした。話が純愛で、まっすぐ相手にぶつかっていく楓のキャラクターを、果たして今のリアルとして体現できているのかどうかと。

 一番最後にラストシーンの撮影があって。この映画の中の楓は、川原での拓也への告白でもうケリはついてると僕は思ってたんですが。「私も拓ちゃんのこと好きだよ」と言ったあと、急に彼女がグッときて、ほとんど泣きそうな感じになっているんです。拓也との恋は無理だとわかっていても、それでも好き。彼女の演技は、僕の想像していた楓像を軽々と超えてくれたんです。

――撮影にあたって手持ちカメラとノーライト、音楽と効果音はなしという方法を選択したのは。

自分の会社で製作する初めての映画だったので、作り方は自由に選ぶ事が出来ました。登場人物たちがまっすぐぶつかっていくというキャラを、今のリアルとして体現できるかどうか、それがこの映画の一番の課題だと思っていたので、出演者に委ねたらどうかと。そうするには照明を使わず自由に演技してもらい、手持ちカメラで記録していく。俳優に芝居をつけることを極力やめて、どう思うかと聞くだけにする。音楽や効果音については現場では正直迷っていましたが、ラッシュを見て、音楽・効果音は必要ないと分かりました。そこには俳優たちが感じた“今”が、きちんと映っていたからです。

――桐生市でオールロケしていますが、ここを選んだのは。

緊急地震警報のシーンがあります。震災以降、地震が出てくる映画は僕自身抵抗があるので、描きたくなかったのですが、今、自分が一番感じている現実を外して映画を撮ることがどうしてもできませんでした。夜中に携帯の緊急地震警報が鳴って飛び起きて、赤ちゃんを抱いて、地震そのものより警報の音が生々しく残っていたからです。海沿いや東北ではなく、地震警報が鳴ってビクっとなる反応を描くのであれば関東近郊。そこで埼玉、栃木、群馬の川のある街を探しました。たまたま大学生の撮った桐生川の写真をネットで見つけて、その場所に行ってみたら、“ここが、僕の探していた場所だ”と思えたんです。

Comments

「好き」は、わたしだけのもの。
沸騰したり、氷解したり。
どうにもならない「水」を、それでも抱えつづけること。
たいせつな感覚が、いま目をさます。

相田冬二(ノベライザー)

生身の役者が魅せる生身の芝居が、最後まで物語を引っぱっていく。
そんな生きた映画でした

天野千尋(映画監督)

拓也くんは現代日本に生きるゲイ男子の代弁者。
彼を取り巻く状況は、今後学ぶべきマイノリティへの眼差しよ!

よしひろまさみち(映画ライター)

作りたいものを作るなら監督自身が身銭を切らなければならない時代。
でもこれはその甲斐があったよ、田尻監督。

寺脇研(映画評論家)

「恋の渦」「愛の渦」と来て、「片思いの渦」!
永久に続く恋愛は「片思い」だと誰が言ったか知らないが、
この映画の主人公が恋心抱く表情は、物語が終わった後も、観客の脳裡に何時迄も可憐に輝き続けている。
あ、もしかしたら俺も「片思いの渦」に巻き込まれたのかもしれない!この渦を抜け出すのは至難の業だぞ!

加藤行宏(映画監督/「アイドル・イズ・デッド」)

しみじみと、いい映画だなあと思いました。
僕もこんな映画が撮れたらなあと…でも、なかなか出来るものではない。うらやましくも思いました。

七里圭(映画監督)

我妻三輪子がもっさりしていて、良かった。
自転車に乗っていても、歩いていても、シャンとしていなくて、フワフワ自信なげだ。
やることなすことうまくいかない、“好き”に振り回されて、無我夢中の我妻三輪子が、愛しく思えて仕方なかった。

いまおかしんじ(映画監督)

こっぱみじんな全員片想いの連鎖なんて、切ないストーリーに決まっている。
でも最後まであったかいぬくもりを感じるのは、
純粋で、ストレートで、繊細な感情が、優しくむき出しにぶつかり合うから。
拓也は自然で、まさに“ボクらゲイ”の等身大の姿。
役者だから演じてると分かっているのに、演技を超えた何かを伝えてくれる。
ずっと名作として語り継がれる“ボクらの物語”の誕生だ!

大木卓実(東京国際レズビアン&ゲイ映画祭・プログラマー)

よくよく見つめなければ視えないような
人々の気持ちを、田尻さんはちゃんと観ている。
そういう人々のおはなしをスクリーンの上に描くとき、
あっと驚くほど大胆な線を引く。
繊細なのに豪腕。
またおもしろい人に出会えたな、と思い嬉しくなった。

孫家邦(リトルモア代表)

いちばん好きな人が自分の隣にいてくれたらいいのに。それは誰もが望む事で、でも、なかなか叶えられない願いだったりする。 そんな当たり前のことにハッとさせられるような映画でした。
我妻三輪子さんのいつも少し開いている口元が印象的で、観ているうちにどんどんあの口(楓の真っすぐで正直なキャラクターは、あの口元からするすると言葉が出てきてしまうからではないかしらとすら思うのです。)の中に引き込まれていくような感覚でした。とにかく彼女が魅力的でした。

草野なつか(映画監督/『螺旋銀河』)

あまりにもまっとうで直球な恋愛映画で、驚いた。性を描き続けた監督が今、恋を描く理由を考えてしまう。でもそんな難しいことは、主人公・楓のきらきらした目を思い出していたら、どうでもよくなってきた。
「好きな人が自分を好きになって結婚するなんて奇跡」だと、楓は言う。でも大人たちの幾割かは、その奇跡を経験したのだよ、と彼女に教えてあげたくなる。恋は一番身近な奇跡で、その入口にきみは立っているのだよ、と。

狗飼恭子(作家・脚本家)

映画終盤、楓が拓也に告白するシーンにグッときた。
かつてアイドルたちが、映画の中で人生のほろ苦さに直面し、最後に泣き笑いの表情を浮かべて、私のこころを鷲掴みにしたように、我妻三輪子は奇跡のような表情を見せる。
田尻裕司は、極めて正統的なアイドル映画の演出を継承しながら、なおそれを乗り越えようとしているのだ。

井土紀州(映画監督)

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我妻三輪子

中村無何有

小林竜樹

今村美乃

はやしだみき

高瀬アラタ

大槻修治

佐々木ユメカ

対馬大翔

久保真一郎

吉田芽吹

森山静香

山本愛莉

中野麻衣

阿部帆朗音

田中紫苑

東郷蒼汰

山本珠里

監督・プロデューサー:田尻裕司

脚本:西田直子

企画:須藤正子

キャスティング:石垣光代

撮影:飯岡聖英

美術:羽賀香織

録音:堀修生

編集:田巻源太

制作担当:坂本礼 助監督:山城達郎

衣装・メイク:鎌田英子 

予告編音楽:SoRA

ロケ協力:群馬県桐生市 わたらせフィルムコミッション

製作:冒険王

配給・宣伝:トラヴィス

2013年/日本/DCP/カラー/88分 ©冒険王